未来の空間情報技術者を育む「Aerospace Junior Academy」開催報告

一般社団法人先端空間情報技術評価支援センター(ASITE)は、富士山麓・御殿場の豊かな自然環境を活かし、次世代の航空宇宙・空間情報分野を担う人材育成を目的とした「Aerospace Junior Academy」を国立中央青少年交流の家と共催しました。ASITEは、空間情報技術の試験フィールドや教育機能を持つ機関として、この取り組みを通じ、子どもたちが科学技術を「自分ごと」として捉えるきっかけづくりを目指しました。

ASITEは、日本DMC株式会社と連携し、防災キャンプやプログラミングキャンプなど、これまでも小型ドローンを活用した体験学習を継続的に実施してきました。倒壊家屋を模擬したフィールドでの要救助者捜索や、取得した映像から状況を読み取りトリアージを行う演習、FPV(First Person View)飛行やScratchによるドローン制御などを通じて、「空間情報技術が人の命や暮らしを支える」という実感を子どもたちに伝えてきました。今回のAerospace Junior Academyは、その延長線上にある新たなチャレンジです。

講座1では、JAXA研究員であり、ASITE理事長でもある本多嘉明氏が「宇宙の大きさを測る」というテーマで講義を行いました。地球を1mm、太陽を10.9cmに置き換えてスケールを示し、「どうやって宇宙を測るか?」という課題を投げかけると、小学校高学年から中学2年生までの子どもたちが3~4名の異学年グループで真剣に議論し、効率的な測り方を夢中になって模索する姿が見られました。

講座2は、株式会社ORSOの田口氏が担当しました。ドローンプログラミングカリキュラムの企画・運営を専門とするプロフェッショナルとして、プログラム飛行と「環境変化に応じてプログラムを修正する」課題に子どもたちを挑戦させました。空調の風などによって飛行経路が変化する状況を踏まえ、役割分担をしながらプログラムを調整し、「宇宙のレアアースを獲得する」というミッションを協力してクリアしていく様子からは、チームワークと問題解決力の成長が感じられました。

講座3では、第二ピアサービス代表であり、元国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所長としてドローンフィールド整備にも尽力された尾藤氏が、ブロックを活用した探究学習を担当しました。講座が始まるやいなや、子どもたちは言葉少なにブロックを組み立て始め、その後、作品について自然にディスカッションが起こる様子に、講師も思わず笑顔を浮かべていました。「宇宙やドローンの学びを踏まえて、どんな町に住みたいかを形にしてみよう」という呼びかけに対し、高さを競う都市構造、生活の利便性を重視した街並み、耐震性を意識した提案など、多彩なアイデアが次々と生まれました。完成した作品はグループごとに発表され、その後、教員を目指す学生ボランティアが画像生成AIに子どもたちの思いを入力し、ブロックの作品に近いイメージが画面に現れると、会場には歓声があふれました。

プログラムの終盤には、全体の振り返りを兼ねた発表会を実施しました。生成された画像の中に描かれたパンダを見て「なぜパンダがいるの?」と問われた際に、「日中の友好関係の象徴です」と答えた子どもの一言からは、国際情勢や他国との関係にまで思いを巡らせている、今の子どもたちの感性と視野の広さが垣間見えました。

最後には、国立中央青少年交流の家の藤原一成所長より修了証の授与が行われました。途中から参加した保護者の方々は、緊張した面持ちで証書を受け取る子どもたちの姿や、数日間のプログラムを通じて成長した表情を見つめ、喜びと誇らしさに満ちた表情を浮かべていました。宇宙やドローン、空間情報技術をきっかけに、子どもたちの探究心と想像力が大きく羽ばたいた、かけがえのない二日間となりました。

ASITEは今後も、教育機関や自治体、企業と連携しながら、空間情報技術とフィールドを活かした学びの機会を提供し、未来の技術者・研究者・地域を支える人材の育成に取り組んでまいります。